本間朋晃のプロレス人生を語る上で避けて通れないのが、2017年3月3日の沖縄・うるま大会で発生した悪夢のアクシデントです。試合中、相手選手の技を受けた際に頭部からマットへ不自然な角度で激突。リング上で完全に身体が動かなくなり、緊急搬送されました。
下された診断名は「中心性頸髄損傷」。首の骨の中を通る重要な神経束が圧迫・損傷を受け、首から下の自由が完全に奪われた状態でした。当時の特番インタビューや手記において本人は「天井を見つめることしかできず、指一本動かない。プロレスどころか一生寝たきりになる恐怖に押しつぶされそうだった」と述懐しています。
しかし、そこからの本間朋晃の執念は凄絶を極めました。少しずつ神経伝達が回復し始めると、ミリ単位で指先を動かす訓練から開始。激痛に耐えながら過酷なリハビリテーションを毎日何時間も継続しました。入院から数ヶ月後には自力歩行を可能にし、さらにはプロレスラーの肉体を取り戻すためのウエイトトレーニングを再開させたのです。
そして受傷から477日が経過した2018年6月23日、故郷である山形県山形ビッグウイング大会にて奇跡のリング復帰を果たしました。代名詞であるダイビング・ヘッドバット「こけし」を放ち、勝利を収めた瞬間、会場は割れんばかりの歓声と涙に包まれました。一度は絶望の底に落ちながら、諦めずに立ち上がったこの復活劇は、プロレス史に残る不屈のドラマとして語り継がれています。