医療機関でインフルエンザと確定診断を受けながらも、その事実を伏せてしまう当事者には、特有の心理的メカニズムと職場環境の圧力が働いています。大手相談プラットフォーム「Yahoo!知恵袋」や転職情報サイト「wovie!」などに寄せられる当事者の告白を分析すると、隠匿に至る理由は大きく4つのパターンに集約されます。
第1に、「業務の属人化と休めない職場環境」です。「自分が休むと現場が完全にストップする」「代わりの人員を補填してもらえない」という過剰な責任感や、休職を申し出にくい組織の同調圧力が、判断を狂わせる主因となっています。Yahoo!知恵袋に投稿された体験談の中には、「発症3日目にタミフルのおかげで平熱まで下がったため、職場には『風邪』と虚偽の報告をして最低限の日数だけ休んで復帰しようとした」という生々しい事例も見受けられます。
第2に、「経済的・人事評価への損失回避バイアス」です。非正規雇用者における日給・時給の欠勤控除への不安や、「有給休暇を使い果たしてしまう」「旅行など私用のために有休を残しておきたい」「体調不良での連続欠勤が人事評価や賞与に響くのではないか」という恐れが、病状の隠蔽を後押しします。
第3に、学校現場における「出席日数や受験・定期試験への影響」です。特に高校や大学、資格試験を控えた学生の場合、「インフルエンザ隠して登校」することで内申点や単位の取得を死守しようとする心理が働きます。しかし、周囲への感染拡大という他者への多大な影響を度外視した自己中心的な判断は、結果としてコミュニティ全体に甚大な損害をもたらすことになります。