トップスター同士の恋愛には、常に巨大なパワーバランスが影を落としていた。男性アイドルの絶対的王者としてジャニーズ事務所の旋風を巻き起こしていた田原俊彦と、圧倒的な美貌と歌唱力で80年代アイドルのアイコンとなった中山美穂。二人の一挙一動は、芸能界全体の株価すら左右しかねないほどの影響力を持っていたのだ。
当時の事務所同士の政治的な駆け引き、そして過熱するマスコミ報道の渦中で、二人が背負った代償は決して小さくなかった。音楽業界全体がゴールデンタイムの歌番組を中心に回っていた時代、ステージ上で交錯する一瞬の視線にさえ、日本中が息をのんだ。制約だらけの世界で繰り広げられた恋は、まさに時代のあだ花とも言える儚さを孕んでいた。