あの圧巻の光景を鮮明に記憶しているファンは多いはずだ。2018年、激闘が繰り広げられた平昌オリンピックの会場。男子シングルのフリースケーティングを終えた瞬間、スタンドからリンクへ投げ込まれたぬいぐるみはまさに「黄色い雨」だった。大会関係者やボランティアが総出で拾い集める作業は競技の風物詩と化し、世界の海外メディアもこぞってその珍現象をニュースとして報じた。
当時、所属先であった全日本空輸のサポートのもとで世界の頂点を争っていた羽生結弦は、試合会場にティッシュカバーとして『くまのプーさん』を持ち込むスタイルを貫いていた。顔の向きを丁寧に調整し、リンクに入る直前に軽く頭を叩いて集中を高める姿。それは単なるお守りではなく、勝利のための不可欠な心理的スイッチだったのだ。