クラブのフロアを揺らしたあの衝撃から10年近くが経過した。しかし、フェスや単独公演でイントロの重厚なビートが鳴り響いた瞬間、観客が見せる異常な熱量は少しも陰りを見せていない。むしろ、リアルタイムで初聴の感動を味わった往年のファンに加え、Z世代やさらに若いリスナー層が雪崩のように参入し、新たな熱狂の渦を作り出している。
なぜ、これほどまでに長く愛され、聴く者を虜にし続けるのか。その理由は、一聴して脳裏に焼き付くキャッチーなフレーズの裏に、計算し尽くされた緻密な構造が隠されているからだ。退屈な日常を脱ぎ捨て、音の波に身を委ねる感覚。音楽を聴くという日常的な行為を「合法的なトリップ」と再定義した視点の鮮やかさは、時代を先取りしすぎていたとさえ言える。