防衛省という組織は、日本の官公庁の中でも特に規律と伝統、そして厳格なプロトコルが求められる場所だ。この組織のトップである防衛相に就任した際、稲田氏のビジュアルはかつてないほどの激しい議論を巻き起こした。自衛隊の演習視察や護衛艦への搭乗に際し、彼女が選んだエレガントなスカートスタイルや帽子、サングラスは、ミリタリーの場における異物感として際立っていた。
国防の要たる現場で求められる「機能性」と「威厳」。それに対し、彼女が見せた装いは政治的パーソナリティの自己主張であった。この落差こそが、メディアにとって絶好の論点となり、防衛行政の動向以上にその外見が大きく取り上げられる一因となった。