近年の歴史的発見の中でも特に注目されているのが、地方の代官所や町触れ(広報)の記録だ。これらによると、法令の主眼は動物保護と同じくらい、あるいはそれ以上に「人間の福祉」に置かれていたことが分かる。当時、貧困による捨て子や、行き倒れた旅人の放置が社会問題化していた。
綱吉は法令を通じて、捨て子を見つけた場合は役所に届け出て保護すること、行き倒れの人間に宿や食事を提供することを義務付けた。これに違反した者は厳しく罰せられた。つまり、動物を大切にする心を育てることで、究極的には人間同士が殺伐と殺し合う社会を終わらせ、互いを思いやる社会へと変革しようとしたのである。