病院や介護施設にとっても、この停電は猶予のない緊急事態だった。自家発電装置を備えた大規模総合病院では、停電から数秒で非常用電源へ切り替わり、手術室やICUの命綱は維持された。しかし、小規模なクリニックや在宅酸素療法を受ける患者の自宅では事態が急転した。
「在宅で人工呼吸器や酸素濃縮器を使っている患者さんからの問い合わせが殺到した」と県内の訪問看護ステーション職員は語る。非常用バッテリーの稼働時間は限られており、復旧の目処が立たない中、医療スタッフは車載電源や携帯型ポータブル電源を携えて患者宅を奔走した。幸いにも迅速な医療ネットワークの連携により直接的な命の危険は回避されたが、在宅医療における電源確保の脆さが浮き彫りとなった。