激変する外食・飲食業界において、羊肉のポジションがここまで高まった背景には、ロジスティクスの劇的な進化がある。オーストラリアやニュージーランドの現地パッカーから一度も凍結されることなく、徹底した温度管理下で空輸・チルド輸送されるシステムが完成した。これにより、かつて現地でしか味わえなかったミルキーな甘みとみずみずしい肉質が、新宿の厨房へとダイレクトに届くようになった。
厨房側でも、低温調理でしっとりと仕上げた羊タンの刺身風や、羊骨から数日間かけて抽出した濃厚スープで締めるラーメンなど、ジンギスカンにとどまらない多彩な羊肉料理のフルコースを展開する店が登場している。捨てるところがないと言われる羊の魅力を余すところなく引き出す調理技術は、現代のサステナブルな食の思想とも見事に共鳴している。