映画公開から数十年が経った今も、大手掲示板やSNSでは「子どもの頃に観てショックを受けたトラウマシーン」としてジジの失語が挙げられることが少なくありません。視聴者の受け止め方は、鑑賞時の年齢によって鮮やかなコントラストを描きます。
10代前後の鑑賞時:「大親友だったジジに裏切られたような寂しさ」「白い猫に夢中になってキキを放り出したように見えて悲しかった」というストレートな喪失感が大半を占めます。
成人・社会人になってからの再鑑賞時:「子どもの頃の親友と少しずつ話が合わなくなっていった感覚そのもの」「学生時代の自分を脱ぎ捨てて社会に出る痛みを思い出す」といった、大人のリアルな人生経験と重ね合わせた深い共感へと変化します。
作中でジジが放つ名言や軽妙なセリフは、キキの幼少期の精神状態を如実に反映していました。
- 「ねえキキ、そんなに形にこだわることないのさ。心よ、大切なのは心」
- 「見てよあの子、生意気そう。フン、鼻持ちならないわね」
- 「僕、明日になると白猫になってると思うよ」
これらのセリフはすべて、背伸びをしたいキキのプライドや、見知らぬ都会への恐れ、周囲への猜疑心をジジが代弁していたものです。街の人々と心を通わせ、自分の居場所を見つけたキキには、毒舌で自分を慰めてくれる分身はもう必要ありませんでした。