錯乱坊は、巨大な坊主頭と小柄な体躯、異様に太い眉毛とたらこ唇がトレードマークの旅の修行僧です。自らの本名である「錯乱坊(さくらんぼう)」を音読みにして「チェリー」と自称・他称させていますが、その風貌はお世辞にも可愛らしいフルーツとは程遠い怪異そのものです。
物語の序盤、友引町にふらりと現れた錯乱坊は、主人公・諸星あたるの顔を見るなり「不吉じゃーっ!」と叫んで不気味な予言を突きつけます。この出会いこそが、あたるの日常を永遠の非日常へと叩き落とす決定打となりました。あたるが地球の命運を賭けた鬼ごっこに巻き込まれ、ラムと出会う契機を作った張本人でもあります。
多くの読者があたるをからかうインチキ坊主と錯覚しがちですが、原作者・高橋留美子氏の綿密な設定資料や劇中の描写を検証すると、「チェリーの霊能力と予知能力は極めて本物である」という決定的な事実に突き当たります。彼の口から出る不吉な予言は、表現こそ大げさで曖昧なものの、ほぼ100%の確率で的中します。あたるの身に降りかかる災難を見抜く眼力は本物であり、お祓いや除霊の祈祷力も一級品です。
また、美しき無巫女(祓い屋)にして友引高校の養護教諭であるサクラは、錯乱坊の実の姪(サクラの母親の兄が錯乱坊)にあたります。サクラ自身も強大な霊力を持ちますが、叔父であるチェリーの卑しさと図々しさには常に頭を抱えており、顔を合わせるたびに容赦ない鉄拳や蹴りを浴びせるのがお約束となっています。しかし、霊的な危機に直面した際には息の合った連携を見せるなど、血縁としての強い絆も垣間見せます。