長旅を耐え抜き、無事に日本の街へ辿り着いたとしても、彼らを待っているのは厳しい都市の現実だ。近年の住宅建築は進化を遂げた。高気密・高断熱は当たり前、外壁には汚れを弾くナノコーティングが施されている。親鳥が泥と唾液をこねて作る泥の巣にとって、最新のツルツルした壁面は滑り落ちる落とし穴でしかない。
かつての木造家屋や昭和感漂うアーケード街のように、凹凸があって雨風を遮る絶好のポイントは再開発で軒並み姿を消した。サイバー感すら漂う2026年の都市景観は、ツバメにとって文字通りの「巣作り砂漠」に変貌している。