長年にわたりテレビドラマ業界や日本映画界の最前線で名作を生み出してきた巨匠は、過度に商業化された現代の映像表現に対して厳しい眼差しを向け続けてきた。目先の視聴率や短期的なトレンドばかりを追う制作姿勢に対し、物語が描くべき「人間の根源的な営み」とは何かを問いかけ直す。
シニア世代を中心に熱狂的な支持を集めた『やすらぎの郷』においても、その批評精神と人間観察眼は遺憾なく発揮された。老いや死という重厚なテーマから逃げることなく、毒とユーモアを交えて描き切った手腕は、硬直化した業界内に大きなインパクトを与えた。どんな時代であっても易きに流れず、描くべき真実を追求する姿勢こそが、彼の真骨頂である。