歌丸師匠の晩年は、まさに病魔との壮絶な闘いの連続でした。カルテを開けば、肺炎、腸閉塞、腰部脊柱管狭窄症、骨折など、度重なる入退院を繰り返していたことが分かります。
特に2000年代後半以降は、入退院のペースが加速しました。2014年には帯状疱疹や肺炎で入院、2015年には背部褥瘡の手術を受け、2017年には肺炎の再発で緊急入院するなど、命の危機に幾度となく直面。病の影響で食が細くなり、最盛期には50kg近くあった体重は一時36kg前後にまで激減していました。
それでも師匠が高座を降りることはありませんでした。背中や足腰の激痛に耐え、歩行が困難になれば車椅子で楽屋入りし、呼吸が苦しくなれば携帯用酸素吸入器(カニューレ)を鼻に装着して高座に上がりました。酸素ボンベを目立たないよう見台の陰に置き、息を整えながら古典落語の長編を口演する姿は、観客に鬼気迫る感動と落語への凄まじい執念を強く印象づけました。