彼らが最初から悪虐非道な妖怪だったわけではない。かつて弟は、幻海と共に武術の道に励む人間であり、己の流派を率いる誠実な武道家であった。しかし、突如現れた妖怪・潰錬によって大切な門下生たちを惨殺され、自らの無力さに打ちひしがれることとなる。
悲劇の復讐を果たした後、弟が選んだ道は暗黒武術会の優勝賞品として「妖怪への転生」を望むことだった。老いることによる衰えを恐れ、二度と大切なものを奪われないための絶対的な力を求めた結果である。永遠の若さと引き換えに人間性を捨て去る決断。この壮絶な過去こそが、彼の佇まいに深みと物哀しさを与えているのだ。