なぜ、これほどまでに一つの言葉が多用されるようになったのだろうか。国語学や言語学の専門家たちは、この現象を非常に興味深い言語的適応の例として分析している。
テレビや著書で知られる言語学者の金田一秀穂氏は、言葉が持つ情報伝達の効率性と感情の即時性に着目する。複雑な感情や驚きを一瞬で言語化し、相手と共有するための「感情の万能ナイフ」として機能しているのだという。
また、学術組織である日本語学会のシンポジウムでも、「やばい」が持つコンテクスト(文脈)依存性の高さが議論の的となっている。語彙力が低下したのではなく、むしろ表情やイントネーション、前後の状況といった非言語的要素を巧みに組み合わせる高度な対話技術が試されているのだ。