「なぜ彼はいつも竹箒を手にして道路を掃除しているのか」という疑問に対し、赤塚不二夫が仕掛けた裏設定は、初見の読者を驚愕させるほどの切なさを秘めています。その根底にあるのが、レレレのおじさんの特異な家族構成です。
実はレレレのおじさんには、妻との間に合計25人の子供が誕生しています。しかもその内訳は、一度の出産で5人が生まれる「5つ子」が連続して5組生まれたという驚異的な設定です。かつてのおじさんの自宅は、25人の子供たちと夫婦がひしめき合う、賑やかで騒々しい大所帯でした。
やがて25人の子供たちは全員が無事に成人を迎え、学者、実業家、芸術家など各界で大成し、日本国内のみならず世界中へと羽ばたいて独立していきました。その結果、残された広大な邸宅には老夫婦(あるいは一人)だけが取り残されることになります。
レレレのおじさんが掃除をする本当の理由は、子供たちが去った後の耐え難い寂しさを埋めるためです。家の中にじっとしていると孤独に押しつぶされそうになるため、竹箒を持って表に出て道路を掃き、「おでかけですか? レレレのレ」と道行く人々に陽気に声をかけることで、外の世界や地域住民との温もりある接触を求めているのです。ナンセンスギャグの裏側に隠されたこのエピソードは、大人になってから読み返すことで深い感動と切なさを呼び起こします。