現役引退後、巨人監督を経て彼が向かったのは、低迷に喘いでいた福岡の地だった。福岡ソフトバンクホークスの前身である福岡ダイエーホークスの監督に就任した当初、チームは負け犬根性に染まり切っていた。1996年、敗戦に激高したファンからバスに生卵を投げつけられる屈辱的な事件が発生する。
だが、王は怒るどころか静かに選手たちへ語りかけた。「俺たちが勝てばいいんだ」。プライドを傷つけられながらも逃げ出さず、若手の練習に自ら寄り添い、勝者のメンタリティを叩き込んだ。小久保裕紀、城島健司、松中信彦ら若き才能を開花させ、万年Bクラスだったチームを瞬く間に常勝軍団へと作り変えた手腕は、現在も福岡ソフトバンクホークスの揺るぎない土台として息づいている。