テレビメディアの登場もまた、武蔵と小次郎の伝説を全国規模で定着させる上で決定的な役割を果たした。なかでも日本放送協会(NHK)が誇る看板番組枠は、時代ごとの最新の解釈を取り入れながらこの二人のライバル関係を描き続けてきた。特に大きな話題を呼んだNHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』では、単なる最強を目指す武芸者の姿にとどまらず、乱世から泰平の世へと移り変わる時代に葛藤する人間のドラマが見事に表現された。
映像技術の進化に伴い、時代劇の殺陣や殺気立つ空間の表現は格段にリアルさを増している。地上波放送がもたらした圧倒的な拡散力は、老若男女を問わず歴史への関心を呼び覚ます触媒となった。かつてのお茶の間を魅了した本格派殺陣の伝統は、現在も日本の映像表現の基盤として力強く受け継がれている。