串岡氏の過酷な体験が契機となり、2006年に施行された公益通報者保護法は、時代の要請とともに制度のアップデートを重ねてきた。2026年最新の法制度においては、事業者に対する内部通報体制の整備義務が一段と厳格化され、通報者の保護範囲もさらに拡大されている。制度の所管庁である消費者庁は、企業が形ばかりの通報窓口を設けるだけでなく、実際に通報者が守られる実効性のある運用を行っているか監視の目を光らせている。
2026年現在の運用基準では、通報者の身元を特定しようとする「逆探知」や社内での嫌がらせ行為に対する罰則規定が実質化された。かつてのトナミ運輸事件のように、声を上げた労働者が四半世紀以上にわたって干されるような事態を二度と繰り返させないための社会構造が、行政・司法の手で着実に構築されつつある。