全米を騒がせるのは球場内のプレースタイルだけではない。水面下で蠢くメガバジェットの移籍交渉と、市場に横たわる圧倒的な年俸格差のリアルだ。トップ級のスター選手が交わす数十億円から数百億円規模の超大型契約の一方で、マイナー契約から這い上がろうとする選手たちとの間には巨大な経済的隔絶が存在する。このマネーゲームの構造は、ビジネスとしてのプロスポーツ産業が拡大し続けるなかで、よりいっそう顕著なものとなった。
代理人エージェントと球団幹部が火花を散らす極秘の交渉現場では、後払いやインセンティブを巧みに組み込んだ最新の契約形態が次々と生まれている。ある球団関係者は「表に出る契約金の数字は、複雑な合意事項のほんの一部に過ぎない。税制対策や将来の年俸総額枠を回避するための知恵比べが夜な夜な行われている」と明かす。グローバルマーケットから莫大な資金が流れ込む最高峰のリーグだからこそ、一球一打に破格の価値が宿るのだ。