高内との出会いに至る前、彼女は日本映画の歴史を刻む数々の名作で圧倒的な存在感を放っていた。特に松竹の看板女優として、深作欣二監督の代表作『蒲田行進曲』で見せたヒロイン・小夏役の演技は、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、彼女の評価を決定づけた。
映画史に残る数々の泥臭くも華やかな撮影現場を経験してきたからこそ、彼女は本物の芸術家が持つ苦悩や美学を見抜く眼力を持っていた。大監督たちと対峙してきた情熱と感性が、ニューヨークで孤独に弦を弾く高内の才能と共鳴したのは、決して偶然ではなかったはずだ。