かつて日本の芸能界における「色気」とは、どこか彫りの深い顔立ちや、低音ボイス、あるいはタバコの煙が似合うようなステレオタイプな男らしさと結びついていた。しかし、そうした記号は急速に過去のものとなりつつある。今の観客が惹かれるのは、もっと曖昧で、ジェンダーの境界線すら軽やかに飛び越えるような佇まいだ。
メイクアップを自然にこなし、自らの弱さを隠そうとしない。それでいて、ふとした瞬間に見せる冷徹な眼差しや、意志の強さ。このギャップこそが、現代的な色気のコアにある。強さの誇示ではなく、自己との対話から滲み出る静けさが、現代のスクリーンには求められている。