「セメントとモルタルの違い」を把握した上で欠かせないのが、現場における適材適所の判断です。強度と施工性のどちらを優先するかで選択肢は完全に分かれます。
カーポートの床面や建物の土台といった強大な荷重がかかる基礎工事では、迷わずコンクリートを選択します。モルタルだけで駐車場を作ってしまうと、乗用車の重量に耐えられず、数ヶ月で割れて破片が浮き上がる大失敗につながります。
対して、ブロックやレンガを積み上げる目地材、タイルの下地調整、外構壁の化粧仕上げといった左官工事ではモルタルが主役です。砂利が入っていないためコテ滑りが滑らかで、薄塗りしても表面を平滑に美しく整えられます。
では、原材料であるセメント単体はどのような場面で使われるのでしょうか。実務では、タイルを圧着するためのペースト材、土間コンクリートの表面に粉のまま散布してツルツルに仕上げる「セメント散布仕上げ」、地盤改良剤としての混合など、特殊な接着・改質用途に限定して使われます。