近年、相撲協会が最も力を入れているのがコンプライアンスの徹底と暴力問題の根絶です。かつては「土俵の中の出来事」として内々に処理されがちだった事案に対しても、現在は外部の有識者を含むコンプライアンス委員会が厳正な調査を行い、厳しい処分を下す仕組みが定着しました。
親方自身が暴力に関与した場合はもちろんのこと、「弟子の暴力を監督できなかった師匠責任」に対しても厳しい制裁が科されます。過去には弟子の不祥事によって師匠が委員から年寄への降格処分を受けたり、部屋の閉鎖・一門預かりといった前代未聞の重罰が下された事例も存在します。親方には単なる稽古指導だけでなく、弟子の私生活やメンタル面まで管理する厳格なガバナンスが求められています。
また、相撲協会の運営方針を大きく左右するのが、2年に1度行われる「日本相撲協会 理事選挙」です。105名の親方衆による投票で選出される10名の理事枠をめぐり、「出羽海」「二所ノ関」「高砂」「時津風」「伊勢ヶ濱」といった各大相撲一門の結束と駆け引きが展開されます。理事のポストは各事業部長や審判部長といった重要ポストに直結するため、どの親方が協会の実権を握るかは角界の将来像を決定づける重要なファクターとなっています。