視聴環境の急激な変化は、キャスターに求められるスキルセットを根本から塗り替えた。TVerによる見逃し配信の定着は、番組が「その時間にテレビの前にいる人」だけのものではなくなったことを意味する。番組中のワンシーンや鋭いコメントが切り抜き動画としてSNSで拡散され、翌朝の世論を形成することも日常茶飯事となった。
さらにABEMAをはじめとするネットニュースプラットフォームは、速報性と徹底した議論の深掘りで既存のマスメディアに揺さぶりをかける。そこでは、あらかじめ用意された原稿を読むだけの姿勢は通用しない。突発的なニュースに対して自らの知識と視座でリアルタイムに言葉を紡ぐ能力、コメント欄から流れてくる視聴者の生々しい反応を瞬時に受け止めて議論を深める瞬発力が試されている。ジャーナリズムの現場は、スタジオからデジタル空間全域へと拡大した。