この邸宅の歴史を紐解く上で欠かせないのが、田中角栄という稀代の政治家と、そのDNAを強く引き継いだ娘・田中眞紀子氏の関係性である。父の最強の理解者であり、時に最も鋭い批判者でもあった彼女は、父の没後も目白の地を守り続けてきた。父娘が交わした激しい議論や、互いへの深い愛情と反発は、昭和現代史の裏に秘められた濃密な人間ドラマである。
角栄氏の政界引退後も、目白の館は眞紀子氏の政治活動の拠点として機能した。父が遺した政治的威光と巨大な存在感を背負いながら、彼女がいかにして己の政治生命を歩み、そしてこの邸宅を守り抜こうとしたのか。その軌跡は、日本の政界におけるサラブレッドたちが背負う宿命の重さを物語っている。