1990年代に入ると、彼女の演技の幅はさらに深みを増していく。相米慎二監督の名作『お引越し』(1993年)で見せた、家族の解体に向き合う母親役の表現力は多くの映画評論家を唸らせた。感情の揺らぎや生活感をリアルに匂わせる演技は、単なるヒューマンドラマの枠を超え、作品全体の質感を決定づける重厚さを生み出した。
また、テレビの世界でもNHKの連続テレビ小説や大河ドラマをはじめとする多数の話題作に連続出演。複雑な内面を持つ女性像や、温かみのある母親像まで幅広く演じ分け、芸能界における揺るぎないポジションを確立していった。