1999年、嵐の結成とともにリリースされたデビューシングル『A・RA・SHI』。この楽曲の核心を成していたのは、間違いなく大野智のボーカルだった。サビやソロパートで魅せた透き通るような歌声と抜群のリズム感は、当時まだ十代だった若者の領域をはるかに凌駕していた。
実は当時、本人は事務所を辞めてイラストレーターなどの別の道を模索していたという。レコーディングの手伝いとして呼ばれ、気づけばハワイでのデビュー発表記者会見の船上に立たされていた。自身の意志とは裏腹に表舞台へと押し出された天才だったが、マイクを握れば一瞬で会場の空気を支配する。その圧倒的なギャップこそが、日本中のファンを虜にした最大の理由だった。