せなけいこといえば、誰もが知る金字塔『ねないこだれだ』を思い浮かべるだろう。同作を含む「おばけのえほん」シリーズの中で、『おばけのホットケーキ』はひときわ陽気で幸福なトーンを担っている。
『ねないこだれだ』がどこか不穏でスリリングな夜の世界を描いて子どもを惹きつけたのに対し、本作はおばけの世界の「日常の歓び」を描く。この陰と陽のバランスこそがシリーズ全体の深みを生み出している。大人の都合の良い道徳観を押し付けず、子どもの目線と同じ高さで世界を面白がる。その一貫した作家哲学が、シリーズ全体を不朽の絵本へと押し上げたのだ。