舞台袖の暗闇で見せる父親としての眼差しと、ひとたび照明を浴びた際に見せる冷徹なまでの名優の顔。そのコントラストがもっとも鮮明に現れるのが、長男である八代目市川新之助との共演現場だ。成田屋の未来を双肩に背負う若武者は、父の背中を追いながら急速な成長を遂げている。
稽古場では容赦のない厳しい指導が飛ぶ。ミリ単位の立ち位置、扇子の角度、声の張りに至るまで一切の妥協は許されない。しかし舞台上で二人の視線が交差する刹那、そこには芸の継承という過酷な運命を共有する親子にしか生み出せない強固な絆が宿る。荒削りながらも瑞々しい光を放つ新之助の姿に、劇界の未来を確信するファンは少なくない。