外から見れば不気味なトタンとコンクリートの巨塔だが、内部には独自の社会秩序が存在していた。自治組織や住民同士のネットワークが形成され、日用品の製造工場から幼稚園、さらには老人の憩いの場までが狭いビル群の中に組み込まれていた。自前の井戸水を汲み上げ、盗電の線が縦横無尽に走る過酷な環境。しかし、住人たちの生活は力強く、生活の泥臭さと人情が同居していた。
一方で、太陽の光が一切届かない暗黒街の側面も真実だ。薬物取引や賭博場が地下通路で密かに行われ、警察の手入れも容易ではなかった。この「光と闇」の極端なコントラストこそが、多くのクリエイターたちの創作意欲を掻き立てる源泉となったのだ。