政治・行政のあり方が問われるいま、大平正芳に対する歴史的再評価の波が加速している。数々の政治ドキュメンタリーや『NHKスペシャル』のアーカイブ番組が彼を取り上げ、秘蔵の未公開資料や元側近たちの証言が公にされた。NHKオンデマンドなどでも関連映像の視聴数が急増し、若い世代の間でも「誠実な政治家」としての素顔が反響を呼んでいる。
文献やインタビューから浮かび上がった独自の秘話も興味深い。多忙な執務中にも欠かさず本を開き、深夜まで思索に耽っていた読書家の素顔。また、政敵であっても決して人格攻撃をせず、裏方に徹して他者を立てる謙虚さ。ハプニングと混乱に見舞われた1980年の「ハプニング解散」直後、激務の中で倒れ急逝した最期の瞬間まで、彼は国家の安泰だけを案じていた。その壮絶な生き様は、現代人の胸に深く迫る。