「なぜ、彼らは入会を断ったのか」。ファンやメディアが抱き続けるこの疑問の根底には、プロ野球選手としての凄絶な自負と矜持がある。栄誉ある団体への参加は表向きには誰もが誇るべき実績だが、当事者にとっては必ずしも手放しで喜べるものではなかった。
その筆頭が、三冠王を3度獲得した落合博満氏だ。彼は規定の条件を満たしながらも、明確な意志を持って入会手続きを行わなかった。個人の数字はあくまで契約とチーム勝利の結果であり、特定のプライベート団体に組織化される必要性を感じなかったからに他ならない。また、昭和の大バッターである榎本喜八氏もまた、自身の精神世界と野球観を最優先し、世俗的な表彰や集まりから距離を置いた。偉業を達成しながらも拒否に至った背景には、孤高の職人としてグラウンドに立ち続けた男たちの譲れない一線が存在したのである。