北川温泉を語るうえで欠かせないもう一つの主役が、満月の夜前後に現れる「ムーンロード(月の道)」です。水平線から昇る満月の光が海面に反射し、まるで波の上にひとすじの光の階段が架かったかのような幻想的な光景を描き出します。日本百名月にも認定されたこの神秘的な夜景は、見る者の心を深く揺さぶります。
「月の光に祈りを捧げると願いが叶う」という言い伝えもあり、北川沿いの遊歩道「ムーンロードプロムナード」は夜の散策スポットとして親しまれています。客室のテラスや露天風呂に浸かりながらこの光景を眺める時間は、東伊豆エリアでも北川温泉ならではの贅沢です。
さらに旅の記憶を彩るのが、東伊豆が誇る海の幸です。北川港定置網で水揚げされた新鮮な地魚はもちろん、主役は肉厚で脂の乗った「金目鯛(キンメダイ)」。伝統の甘辛い煮汁でふっくらと炊き上げた「金目鯛の姿煮」や、上質な脂の甘みが引き立つ「金目鯛のしゃぶしゃぶ」は、多くの旅館で提供される名物料理です。地元の山葵(わさび)とともに味わう地魚の刺身盛合せは、温泉上がりの味覚を極限まで満たしてくれます。