映像の第一線から距離を置くことを余儀なくされた時期、彼女が魂の避難所であり実験場としたのが演劇の世界だった。2007年、作家の楠野一郎とともに演劇ユニット「プロペラ犬」を旗揚げ。客席と舞台がゼロ距離で迫る濃密な空間で、脚本・演出・出演のすべてに深く関わった。
きらびやかなスポットライトを離れ、観客の生々しい息遣いに晒される小劇場の板の上。そこで彼女は、自らの内に眠る野性的なコメディセンスと人間の暗部を抉り出す演技力を覚醒させていく。美しさをかなぐり捨て、汗と唾を飛ばして演じる歓びが、その後の彼女の演技に底知れぬ厚みをもたらした。