1982年1月21日にリリースされた山下達郎の6作目のスタジオ・アルバム『FOR YOU』。きらびやかなファンク・ナンバー「SPARKLE」で幕を開けるこのレコードの終着駅として置かれたのが、名曲「YOUR EYES」である。躍動するグルーヴの嵐をくぐり抜けた先に待つ、静寂と祈りにも似たバラード。この見事なコントラストこそが、アルバム全体の芸術的完成度を決定づけた。
作詞を手がけたのは、アメリカのシンガーソングライターであるアラン・オデイ(Alan O'Day)。山下とは「SPARKLE」や「MUSIC BOOK」など数々の代表曲でタッグを組み、阿吽の呼吸を誇った盟友だ。オデイが紡ぎ出した言葉は、単なる異国の言語の借用ではない。山下のメロディが持つ繊細な陰影を完全に理解した上で、孤独な魂が愛の眼差しに出会う瞬間の震えを、極めて平易かつ格調高い英語へと昇華させている。
制作当時、山下は自身のボーカル表現において英語の母音と子音の響きを徹底的に研究していた。オデイとのディスカッションは時に深夜に及び、一語一語のアクセントがメロディのグルーヴを損なわないよう綿密に推敲されたという。まさに日米の一流クリエイター同士の魂の交歓が生んだ奇跡の産物だ。