歩行の遅れや歩き方の違和感の背景には、運動発達全般の問題だけでなく、関節や骨格といった運動器そのものの異常が隠れているケースが存在します。日本小児整形外科学会が注意を呼びかけている代表的な疾患のひとつが、発育性股関節形成不全です。
乳児期の健診で見過ごされてしまった軽度の股関節の緩みや亜脱臼が、歩行を開始する2歳前後に「体を左右に大きく揺らしながら歩く(トレンデレンブルグ歩行)」「左右の太ももの皮膚のシワが明らかに非対称である」「股関節の開きが硬い」といった異常として顕在化することがあります。早期に発見できれば保存的な治療や生活指導で改善を目指せるため、自己判断で放置しない姿勢が極めて重要です。
また、2歳児特有のO脚やX脚についても正しい理解が欠かせません。乳幼児の脚は成長に伴ってO脚から徐々にX脚へと移行し、就学前後に真っ直ぐな大人の脚へと整っていく生理的な変化を辿ります。しかし、極端なO脚が進行する場合や左右差が著しい場合には、骨の成長障害を伴う疾患(ブラウント病など)やビタミンD欠乏によるくる病の可能性を考慮し、レントゲン検査等による正確な診断が求められます。