上からも下からも激しい排泄が続くと、誰もが「一刻も早く止めたい」と市販の下痢止め薬に手を伸ばしたくなる。しかし、これは最も避けなければならない悪手の一つだ。下痢や嘔吐は、腸管内に充満した毒素や大量の病原体を体外へ排出しようとする人体本来の防御反応に他ならない。
化学的に腸の蠕動運動を無理やり止めてしまえば、行き場を失った病原体が腸内に長くとどまり、毒素の吸収や炎症の長期化を招く。日本感染症学会の診療指針でも、急性胃腸炎に対する安易な止瀉薬投与は推奨されていない。嘔吐が続いている最中は無理に飲食物を口に運ばず、まずは衣服を緩め、吐瀉物が気道を塞がないよう横向きに寝かせる「回復体位」をとって安静を保つのが鉄則だ。