名門の血統という看板を粉々に打ち砕き、一人の怪優として世間にその名を刻みつけた決定的瞬間が『大河ドラマ 鎌倉殿の13人』だった。寛一郎が演じた公暁の狂気と悲哀。鶴岡八幡宮の雪の石段で繰り広げられた暗殺劇は、視聴者の息を完全に止めた。
同作には佐藤浩市も上総広常役として出演し、序盤の圧倒的なハイライトを担っていた。直接的な共演シーンこそなかったものの、物語の重要な結節点を父と子がそれぞれ魂の演技で支えた構図は圧巻の一言に尽きる。現在もNHKオンデマンドなどで語り継がれるこの怪演によって、寛一郎は「佐藤浩市の息子」という前置きを永遠に葬り去った。