『アナと雪の女王』を語る上で欠かせないのが、姉エルサ役を務めた松たか子との共鳴だ。劇中歌『生まれてはじめて』における二人の掛け合いは、日本のミュージカル映画史に燦然と輝く金字塔となった。
城の扉が開く高揚感に胸を高鳴らせるアナと、自らの魔力を恐れて心を閉ざすエルサ。神田の跳ねるようなソプラノと、松の深遠で重厚な歌声。対極にある二つの魂がひとつの旋律の中で交錯する瞬間、劇場には目に見えない電流が走った。互いの息遣い、感情の揺らぎ、言葉のイントネーション。声優業界の慣例を打ち破るほど有機的に結びついた二人の表現力は、観客の感情を根底から揺さぶった。
スタジオでの収録時、神田は楽譜の行間にあるアナの感情を徹底的に読み解いていたという。ただ正確に音程をなぞるのではなく、小走りになりながら息を切らして歌うリアリティ。その徹底したこだわりこそが、楽曲に不朽の生命を吹き込んだ。