千歳市といえば、新千歳空港を擁する北海道の空の玄関口だ。しかし長年、旅行者の多くは空港から札幌や小樽、富良野へと直接向かい、市街地を素通りしてしまう「通過型観光」の壁に悩まされてきた。その長年の課題に風穴を開けたのが、今回のプロジェクトだ。
2026年現在、最先端の次世代半導体工場の本格稼働により、千歳には世界中から優秀な技術者やビジネス客が集結している。そんなグローバルな先端産業の最前線で働く人々が求めたのは、皮肉にもハイテクとは対極にある「生のぬくもり」だった。古びた文具店や旧映画館を大胆にリノベーションした空間には、デジタル画面では決して味わえない手触り感と圧倒的なストーリーが息づいている。