国家主席の習近平率いる中国共産党は、農村部の絶対的貧困を完全に克服したと発表し、これを偉大な歴史的偉業として国内外に強くアピールした。国営の新華社通信をはじめとするメディアは連日、貧困村が観光地や新産業の拠点へと生まれ変わった成功体験を報じ続けている。
だが、この「成果」には大きな前提条件が存在する。中国政府が定めた貧困ラインは、年収約4000元(約8万円程度)という極めて低い水準に基づいている。一方で、世界銀行が中高所得国向けに設定している貧困ライン(1日あたり6.85ドル)を適用した場合、数億人規模の人々がいまだに実質的な困窮状態に置かれているとの指摘は根強い。単なる数値上の「達成」と、国民が皮膚感覚で覚える生活の厳しさとの間には、解消しがたい巨大な乖離が横たわっている。