世界遺産の指定は、大量の観光客を呼び寄せる強力なマグネットとなる。しかし、過度な集中は地域の生活インフラに耐えがたい負荷をかける。水道や下水道の容量超過、交通渋滞の常態化、さらには騒音被害。これにより、住み慣れた地域を去らざるを得ない住民が増加している。
自然遺産においては、生態系への悪影響がさらに顕著となる。登山道の浸食や野生動物の生態攪乱、観光客が捨てていくプラスチックゴミによる土壌汚染など、問題は山積みだ。環境問題ドキュメンタリーで取り上げられるような凄惨な現場が、世界遺産という栄誉の裏で日常的に生み出されている現実は見過ごせない。