単なる「レコードをかける係」で終わるつもりは毛頭なかった。彼は1980年代後半、伝説的なリミックス集団「The 4 Space」を結成する。まだサンプラーやシンセサイザーが今ほど手軽ではなかった時代だ。テープを切り貼りし、ビートを再構築する地道な作業。ここで培われた圧倒的な技術と耳の良さが、後の大ブレイクの土台となる。
当時のクラブシーンを知る関係者は語る。「KOOはとにかくストイックだった。夜通しブースに立ち、昼間はスタジオにこもる。音楽以外の欲がまるでないような男だった」。派手な夜の街にいながら、職人のようなストイックさで音作りに没頭していたのだ。この時期のモノクロ写真に写る彼は、まるで映画の主人公のような陰影を帯びている。