相撲界の深層でいま、極めて大胆な地殻変動が起きている。日本相撲協会が推し進める改革の眼目は、閉鎖的と揶揄されがちだった意思決定プロセスの透明化と、次世代に持続可能な興行基盤の再構築にある。外部有識者の意見を積極的に取り入れたコンプライアンス体制の定着はもちろん、若手親方の登用や業務のデジタル化など、長年手つかずだった聖域へのメス入れが着々と進む。
とりわけ注目すべきは、協会の財政基盤と力士のセカンドキャリア支援を巡る新方針だ。土俵を去った後の力士たちが社会で活躍できるよう、資格取得支援や企業との連携プログラムが強化されつつある。力士志望者の減少という根深い構造問題に対し、入門から引退後までを一貫して支えるセーフティネットの構築は急務だった。伝統の重みを知るトップだからこそ、痛みを伴う改革の本質を深く理解している。