起訴を受けた神戸地方検察庁は、極めて慎重かつ強固な立証構造の構築を迫られている。2010年の刑事訴訟法改正によって殺人罪の公訴時効は撤廃されたが、殺人未遂罪については時効期間が延長されたものの残存しており、罪名の適用や当時の法解釈をめぐる法理上の論点が裁判の焦点となる。検察側は、犯行の残虐性と執拗さから「未必の故意」を超えた確定的殺意を立証する構えだ。
公判では弁護側による精神鑑定の請求や責任能力の争点化が確実視されている。事件発生から約20年という歳月が経過した今、当時の精神状態をいかに正確に鑑定・評価できるのか。記憶の減退や証拠の経年劣化という壁を前に、神戸地検の緻密な証拠調べと法廷戦術が厳しく問われることになる。