事態が急展開を見せたのは、関係者筋から流出したとされる未公開映像アーカイブの存在が浮上した夜だった。安達結希の父親が運転していたセダンには、前後方および車内を常時記録する高解像度のドライブレコーダーが搭載されていた。事故発生時、車体は大破しながらもメモリーカードの基板は奇跡的に残存していたのだ。
流出したデータに収められていたのは、見通しの良い直線道路で突如として前方に現れた不審な黒い影と、それに呼応するかのように激しく乱れるステアリング操作だった。視界を遮るものは何もない。それにもかかわらず、父親は何かに追い詰められたかのようにアクセルとブレーキを激しく踏み替えている。この異様な挙動こそが、事故の背後に潜む暗部を物語っていた。