発端となったのは、動画共有プラットフォームのYouTubeが急速に普及し始めた2009年に撮影された一本のホームビデオだ。当時わずか15歳だったジャスティン・ビーバーの隣に立ち、威圧的な笑みを浮かべるショーン・コムズ(P.ディディ)。彼はカメラに向かって、少年を預かる週末の計画を語りかけていた。
「彼はいま、ディディと過ごす48時間を手に入れた。俺たちがどこで何をやるかは明かせないが、15歳の少年が夢見るようなクレイジーな時間になるのは間違いない」
コムズの言葉の端々に漂う不穏な空気は、十数年の時を経て世界中の視聴者に強い違和感を抱かせた。高級車ランボルギーニの贈与をちらつかせ、業界の頂点に君臨する権力者が無防備な少年を自らのテリトリーへ引き込む。その様子は、後年になって明るみに出た数々の告発と不気味なほど符号している。