ポピュラーカルチャーにおけるオタク像の描写も、社会の空気感を敏感に反映しながら進化を重ねてきた。2000年代半ばに社会現象を巻き起こした『電車男』の時代、オタク文化はどこか異質な存在として描かれ、秋葉原という街も特殊な空間として捉えられがちであった。当時はまだ、女性ファンが表立って声を上げる環境は十分ではなかったと言える。
しかし、時代が下るにつれて物語の主役は変化していく。アイドルを熱狂的に応援する女性たちの心理をリアルに描いた作品『推しが武道館いってくれたら死ぬ』のヒットは、その象徴的な例だ。作品の中で描かれる「推し」に対する無償の愛や生活の躍動感は、多くの現代女性ファンの実体験と重なり、サブカルチャーにおける女性の存在感が揺るぎないものになったことを強く物語っている。